【GSX-R750の特徴】
GSX-R750は、1985年の発売から1991年までは油冷エンジン、1992年以降は水冷エンジンを搭載した750ccスーパースポーツです。
日本国内仕様の販売は、1998年まで。その後はモトマップなどでの逆輸入車のみが日本市場での流通となっています。
GSX-R600の登場から、GSX-R750をベースにしていましたが、2006年に立場が逆転。GSX-R600をベースとして、GSX-R750の開発が行われるようになりました。
■油冷エンジンの始祖
1985年から1991年までは、油冷エンジンを採用していました。油冷エンジンのメリットは、軽量かつコンパクトであること。そのため、同クラスのマシンは220kg以上が当たり前だった時代に、GSX-R750は179kgという驚異的な数字を実現させました。
ただ油冷エンジンにはデメリットも存在していて、冷却性能が冷却水の1/10程度しかありません。ただ、耐久性は十分。試作機での全開100時間のテストでも壊れませんでした。
また、発売後に行われた24時間耐久レースに出場し、1・2フィニッシュを決めるほどに十分な耐久性を誇っていました。
■GSX-R750の歴史
●初代GSX-R750 1985年~1987年
1985年に発売された初代GSX-R750は、大型バイクにレーサーレプリカという概念をはじめて採用した車種でもありました。
その為、全日本ロードレース選手権のTT-F1(4st750cc or 2st500ccの市販車ベースクラス)で3年連続チャンピオンとなるマシンでもありました。
●2代目GSX-R750 1987年~1991年
1988年からの2代目はフルモデルチェンジを受け、TT-F1レーサーのフレームを使用したマシンとなっていました。車重は重くなりましたが、ハンドリング性能が大幅に向上しました。
1989年にはチャンピオン奪還の為に、GSX-R750(1986年に発売された、TT-F1チャンピオンを記念して作られた、乾式クラッチやシングルシートなどを採用したモデル)を再販売し、専用エンジンも採用されました。
●3代目GSX-R750 1992年~1995年
1992年からの3代目で、大きな転機を迎えます。
この年のモデルチェンジで、エンジンが水冷化。最高出力は118psまで向上したものの、乾燥重量が208kgと初代より+29kgの増量となってしまいました。
●4代目GSX-R750 1996年~1999年
1996年からの4代目はフルモデルチェンジを受けました。このモデルチェンジはエンジンから車体外装までの完全なるものでした。
長年検討されていたツインスパーフレームを採用。このフレームはワークスマシンの、RGV-Γのディメンションを最高に作られていました。エンジンもさらにコンパクトに新設計を行いました。
油冷ダブルクレードルフレーム=GSX-R750となっていたものを完全に壊しました。
1998年モデルでは、デュアルバタフライ式のフューエルインジェクションを採用し、最高出力を135psまで向上させました。
また、このモデルを最後に、日本国内仕様は販売終了となりました。
●5代目GSX-R750 2000年~2003年
2000年からの5代目は、外観をシリーズのGSX-R1000やR600と共通デザインとなります。
先代のモデルチェンジで車重を179kgと初代と同等に落としましたが、この年のモデルチェンジでさらなる軽量化に成功しました。なんと166kgと-13kgの減量となったのに加え、最高出力も141psとモンスター級となりました。
2000年から2002年までの3年間で、別々の大会ではありますが、3度のチャンピオンに輝くマシンとなりました。
●6代目GSX-R750 2004年~2005年
6代目からのGSX-R750は大きく路線を変更することとなります。それは、レースのレギュレーション変更で750ccクラスが1000ccクラスになった為です。そのため、GSX-R750はミドルクラスのサーキットマシンをGSX-R600に譲り、ストリート路線へと分岐していくこととなりました。
●7代目GSX-R750 2006年~2007年
7代目のGSX-R750から、ベースマシンがGSX-R600に変更。立場が逆転しました。
その為、R750は排気量を上げ、バランサーシャフトを採用した、R600のバリエーションモデルとしての立ち位置となりました。
●8代目GSX-R750 2008年~2010年
2008年からは、騒音対策でマフラーを大型化し、日本国内での輸入販売が再開されました。
また、外観デザインも変更されており、フロントマスクが一新されました。
電子スロットルの採用でライディングモードが選択可能になり、電子制御ステアリングダンパーも採用されました。
●9代目GSX-R750 2011年~
2011年からの9代目は、3年ぶりのフルモデルチェンジで、-8kgの減量に成功しました。外装3.5kg、エンジン・フレーム・マフラー各1kg、etc…
ホイールベースも15mm短くなっている等大きく改良されています。
2015年で30周年を迎える長寿命のバイクとなりました。
【GSX-R750の装備】
GSX-R600をベースとした装備となっています。メーター仕様や調節可能なフットペグ、電子制御ステアリングダンパーも同様の装備となっています。
【GSX-R750のパワーユニット】
エンジンは、軽量化を図りつつスペックを低下させない改修を行いました。
ピークのパワーよりも低-中速域のトルクを重視したチューニングを行い、GSX-R600よりストリート向けでの開発となっています。
【GSX-R750のシャシー】
足回りもアルミキャストツインスパーフレームの採用は、GSX-R600と同様。ショーワ製のフロントフォークやブレンボ製のブレーキキャリパーの採用も同等のものとなっています。