【VFR1200Fの特徴】
VFR1200Fは2010年に登場した、VFRシリーズの完全ツアラーでした。VFRシリーズの系譜の直前はVFR(RC46型後期)で、約600ccアップしたマシンとなりました。
前身VFRはツアラーとしての特性とスポーツ性能もあった為、明確な特性が無くなってしまった、いわゆる器用貧乏なバイクとなってしまったため、完全なるツアラーとして設計されたのが、VFR1200Fでした。
■あえて採用した新設計のSOHCエンジン
完全ツアラー完成の為に、コンパクト化を目指して新設計されたエンジンです。
当時はDOHCが一般的でしたが、あえてSOHCを採用しました。これは、エンジンのコンパクト化の目標の為で、奥行きが出てしまうV4エンジンのVバンク角を90°ではなく、76°に設定しています。Vバンク角を狭めたことにより、高さが出てしまいますが、SOHCの採用によってコンパクトにしています。Vバンク角の変更によって生まれる振動は、位相クランクによって打ち消すことに成功しました。
■明確化された長短所
前述したSOHCの採用によって生まれた短所は、最高出力111psの馬力。ただ、SOHCを採用しないことには達成できなかった、コンパクト化や唯一無二のV4フィーリングは。VFR1200Fにとって最大で最高の長所となりました。
■VFR1200Fのモデルチェンジ年表
2010年の発売から約4か月後には、VFR1200F DCTが発売されました。DCTが二輪車に初めて採用されたのが、VFR1200Fでした。
2011年にはカラーチェンジを行い、2012年にマイナーチェンジを決行。
燃料タンク容量を18Lから19Lに拡大し、走破性が向上しました。また、トラクションコントロールも搭載し、安全性も向上しました。
その後は、2013年のカラーチェンジのみでバリエーションモデルのVFR1200Xと共に2016年をもって、生産終了となりました。
【VFR1200Fの装備】
二輪車初めてのDCTの採用に加えて、ホンダの二輪車として初めて電子スロットルを採用しました。
また、トラクションコントロールシステムも搭載しており、安全性への配慮も十分で、ツアラーとしての装備は整っていました。
【VFR1200Fのパワーユニット】
PGM-FI採用により、高い環境性能を誇ります。また、前述した左右対称配置のシリンダーを採用したエンジンはコンパクト化に成功しています。
エキゾーストシステムでは、4-2-1となっており、パワーのつながりがスムーズになりました。
【VFR1200Fのシャシー】
片持ちのスイングアームには、シャフトドライブシステムを採用しました。これにより、静粛性と耐久性を向上させました。
フロントサスペンションは、カートリッジタイプの倒立フォークを採用しており、剛性が高く、路面追従性の高いツアラーマシンとなりました。
また、ABS装着はもちろん、フロントブレーキのダブルディスクで、制動力が向上。安全性も十分です。