【VT250Fの特徴】
VT250Fは1982年に発売された、VTRシリーズの原点とも言えるバイクです。
当時は250ccクラス2ストスポーツの台頭で、2ストが求められていた時代での4ストVツイン発売でした。
ただ、2stに負けないパワーや当時メーターバイザーとしていたビキニカウル、赤フレーム等、目を引く装備が多く採用されていたことから、VR250Fは一躍人気バイクとなりました。
■250ccクラスのクォーターブームの筆頭
VT250FとヤマハRZ250の発売で、250ccは400ccのお下がりではなくなり、各メーカーが250ccスポーツモデルを続々と発売しました。これがきっかけとなり、空前のクォーター(1000ccの1/4)ブームが始まりました。
その後は、日本で初めて累計販売10万台突破や、グッドデザイン賞を受賞するなど、二輪業界を先導する存在となりました。
■ブームの需要に合わせたモデルチェンジ
発売から約2年でフルモデルチェンジを行い、MC08後期型となり、最高出力40psを達成。
カウル装着解禁後には、VT250Fインテグラも発売し、累計販売10万台を突破した際は、白/黄/黒の限定モデルを発売。同年に阪神タイガースが優勝したことで、阪神カラーとも呼ばれます。
ネイキッドモデルのVT250Zの発売や、1986年のフルモデルチェンジにてMC15型へ移行するなど、数々の変更を行い、ロングセラーとなりました。
■VT250Fのモデルチェンジ年表
発売翌年の1983年にカウル解禁を受けて、カウル付きモデルのVT250Fインテグラを発売しました。
1984年に1度目のフルモデルチェンジを行い、吸排気系の効率向上で最高出力は4stながら40psを達成しました。燃料タンク容量を12Lから14Lへ増量し、航続距離も向上しました。
1985年に累計販売10万台突破を記念した、限定カラーモデルを発売しました。
1986年には2度目のフルモデルチェンジを行い、MC15型となりました。
高慣性吸気ポートや集合管マフラーの採用で、常用回転域から高回転域までの吸排気効率を向上。新フレームの採用で-6kgの軽量化に成功。最高出力は43psまで向上しました。
1987年にフロントブレーキをダブルディスクに変更したモデルも発売しました。
1988年にVT250 SPADAへのモデルチェンジとなり、VT250Fとしては生産終了となりました。
【VT250Fの装備】
多くのカラーバリエーションの発売や、限定モデル等を発売しました。
MC15型からは、クラッチが油圧式からワイヤー式に変更になっています。また、右側1本出しの集合管マフラーの採用やデザイン変更も行い、各年代のブームに合わせた装備となっています。
【VT250Fのパワーユニット】
MC15E型エンジンは、メカニカルノイズ減少を目的に、カムチェーンをサイレントチェーンに変更しました。コンロッドやピストンも見直し・軽量化を行い、最高出力も43psになりましたが、この頃には馬力重視の考え方から、気筒数重視の考え方に変わってしまっていました。
【VT250Fのシャシー】
MC15型から、新設計のツインチューブダイヤモンドフレームを採用し、-6kgの軽量化に成功しました。剛性も向上しており、走行性能は大幅に向上しました。
ホイールもアルミキャストホイールを採用し、軽量化に貢献しています。